終末医療はこれ以上は治療の施しようのない患者に対して、心理的な負担や身体的な苦痛の緩和を手助けするものです。終末医療を提供するホスピスに入る患者は、心身ともに疲労困憊しているケースが多く見られます。そのため、日常的な会話を通じての意思疎通も困難になるケースがありますが、ナースは患者との会話を通じて、患者の要求を希望するかたちで提供する事が必要とされます。具体的には、ホスピスなどの医療機関では、患者の身体的な苦痛を少しでも和らげるために、通常では使用が躊躇われるような強い副作用を持つ薬剤が選択されるケースも見られます。しかし、場合によっては、患者が一日でも長い延命を希望される場合や、その薬の効用が患者の価値観とは異なるケースもあるために、看護師の方が相互理解を深めながら、患者の意見を尊重した上で治療法を選択することが必要とされます。より多くの時間を患者と共有する看護師は、患者側の希望する治療法を最も良く理解することができ、個々の希望条件を医師に正確に伝える役割があるのです。そのため、終末医療の現場では、単に看護師としての医学的な知識が求められるだけではなく、多種多様な患者の価値観を理解できる思慮深い人間性が求められます。それ故に、このナースの勤務先では、女性ならでは優しさや感性が大切になるもので、患者の求める内容を的確に理解し、素早く提供していく事が大事だといえます。とても神経を使う職場ですが、非常にやりがいのあるお仕事でもあります。昨日まで元気に話していた人が急にいなくなるのが当然という環境。人の心と本気で向き合いたいという方、命を失うことの恐怖と向き合える芯の強さをもった方でないと勤まりません。ホスピスは「看護を極めたい」というベテラン看護師の転職先として最適な場所です。